当院における「連携」の位置づけ
在宅医療において「連携」が大切であるということは言うまでもないことでしょう。そのような一般的な脈絡にとどまらず、当院にとって「連携」はことさら重要な位置を占めています。1999年の開設以来、門前薬局、訪問看護ステーション、入院病床、居宅介護支援事業所などの重要な機能を自らの組織として構えるのではなく、地域の機関や専門職種の方々と連携協働する形で今日まで実践を継続しているからです。
都市型在宅医療の場合、地域には数多くの機関や専門職種が存在します。組織のさまざまな事情や「顔の見える関係づくり」の観点からは、組織内部に多機能を構えるか、特定の機関との連携を密にする方が効率や一定の質を求めるには近道かもしれません。しかし、そのようなあり方だけでは首都圏に迫りくる在宅医療の需要爆発に応えきれなくなる恐れがあります。
そこで当院では、開院以来地域の数多くの機関や専門職種と協働し切磋琢磨することを大切にしてきました。前述のような “ないない尽くし” で在宅医療を実践することは楽なことではありませんが、地に足をつけて実践を継続する中で、地域の医療介護従事者が当院の応援団となって連携協働や地域づくりに尽力してくださっています。
今後とも、みなさんのお力を得ながらモデルとなり得る臨床実践や地域活動に取り組んでいきたいと考えています。