在宅医療を提供する機関等を連携拠点として、多職種協働による在宅医療の支援体制を構築し、医療と介護が連携した地域における包括的かつ継続的な在宅医療の提供を目指し、厚生労働省は単年度事業として在宅医療連携拠点事業を実施することにしました。平成23年度は全国で10の連携拠点、平成24年度は105の連携拠点で事業を展開しました。
その後、国は平成24年度の補正予算において、都道府県に対して地域医療再生臨時特例交付金の交付を決めました。平成25年度からは、各都道府県が地域医療再生計画を策定し、その計画の一角をなす在宅医療推進事業の実施に際しては、都道府県毎に委託先のとなる市・区行政を選定し進めていく運びとなりました。
あおぞら診療所は、平成23年度、並びに平成24年度に診療所としてモデル事業を受託し、地域の医療・介護の専門職と連携強化を図りながら事業を進めました。松戸市や松戸市医師会、松戸歯科医師会、松戸市薬剤師会からは、拠点事業に関わる企画を後援していただくなど、様々な形で協力いただくことで、事業の成果をより公共性の高いものへと発展させて参りました。
平成25年度から、松戸市が千葉県から在宅医療推進事業を受託し、事業運営にあたり松戸市医師会に協力を要請しました。その際に、松戸市医師会から推薦を受けて、あおぞら診療所は事業運営のための事務局機能を担当しました。翌26年度には、その事務局機能は市内の他の医療機関へ引き継がれました。現在、当院は松戸市医師会在宅ケア担当理事として、事業全体を統括する形で関わっています。
事業報告 |
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平成24年10月14日 国立長寿医療研究センター主催「都道府県リーダー研修」が開催されました。
「都道府県リーダー研修」は、厚生労働省医政局「多職種協働による在宅チーム医療
を担う人材育成事業」の委託を受けた国立長寿医療研究センター主催による研修会であり、2日間にわたり全国から集まった250名が受講しました。
各都道府県から推薦された在宅医療・ケアの推進および普及・啓発を行うためのリーダー候補者(都道府県医師会・都道府県行政・在宅医療連携拠点事業者等)参加のもと、在宅医療を推進する意義をはじめとして、多職種協働の意義やその具体的方法、在宅医療連携拠点事業における課題抽出や解決策の検討等について講義やグループワークが行われました。
都道府県リーダー研修受講者は、今後各都道府県において地域の実情に合わせて在宅医療推進のための「地域リーダー研修」を開催することになります。
あおぞら診療所からも都道府県リーダーとして参加するとともに、講師等として協力させていただきました。
研修プログラム
課題抽出の方法とその解決策の事例紹介(川越担当講義部分スライド)
講義資料(全講師)
http://www.ncgg.go.jp/zaitaku1/suisin/jinzaiikusei/h24/20121013_14_01kensyu.html
多職種が一堂に会する会議 |
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あおぞら診療所では、平成23年度から平成26年度にかけて、地域の多職種が一堂に会する場として、多職種合同カンファンレンスを計10回開催致しました。
平成23年度に、当院が厚生労働省のモデル事業である在宅医療連携拠点事業を受託し、地域全体の在宅医療を支える多職種との連携の強化、顔の見える関係づくりを目指し、多職種合同カンファレンスを開催し始めました。平成24年度までは、同モデル事業の一環としてカンファレンスを継続的に開催しました。
モデル事業終了後は、在宅医療連携拠点事業を通じて明らかとなった課題解決に向けた取り組みに注力するために、勇美記念財団より研究費を受託し、松戸市における多職種合同カンファレンスの開催も継続しました。
カンファレンスは、地域で医療並びに介護に従事する専門職(医師、歯科医師・歯科衛生士、薬剤師、看護師、理学療法士・作業療法士、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、地域包括支援センター・在宅介護支援センター職員、市役所職員 等)を対象とし、毎回100~150名ほどの多職種が会しました。一回のカンファレンス開催時間は2~3時間を基本とし、出席者全員が、多職種で構成されるスモールグループ(6~8名)に分かれ、設定したテーマについてディスカッションをする場と、その討議内容について参加者全員で共有する全体討論の場を設けました。
当院が企画・開催した多職種合同カンファレンスを総括すると、以下の表に示したように、4つに大別されます。
目的 | テーマ | 開催日 | 参加人数 |
---|---|---|---|
地域課題を抽出する |
松戸市の在宅医療の課題の抽出 | 平成23年 6月29日 |
(166名) |
松戸の救急現場はどうなっているの!? 救急隊に聞いてみよう | 平成25年 10月10日 |
(153名) | |
事例をもとに検討する |
在宅における認知症高齢者の事例検討 | 平成23年 12月1日 |
(135名) |
「がん終末期患者に対する在宅緩和ケア」の事例検討 | 平成24年 5月23日 |
(112名) | |
事例検討 「老衰のミヨさんに各職種ができることは?」 | 平成24年 7月24日 |
(122名) | |
共通の価値観を熟成する |
講演会&松戸の在宅医療を進めるために:課題とアイディアの検討 | 平成23年 9月3日 |
(114名) |
地域包括ケアの時代における訪問看護の役割 | 平成24年 7月31日 |
(111名) | |
IPW(Inter-Professional Working多職種協働) | 平成25年 2月14日 |
(125名) | |
解決策について検討する |
松戸市の在宅医療にまつわる重要課題の解決策 | 平成24年 2月29日 |
(103名) |
シンポジウム「高齢者の救急医療と在宅医療を考える」 | 平成26年 6月24日 |
(237名) |
その後、平成25年度からは、各都道府県が地域医療再生計画を策定し、その計画の一角をなす在宅医療推進事業の実施に際しては、都道府県毎に委託先となる市・区行政を選定し進めていくことが、施策として国から示されました。同年、松戸市は千葉県から在宅医療推進事業を受託し、事業の主要タスク一つである多職種が一堂に会する会議を主催することとなりました。当院が企画・開催してきた多職種合同カンファレンスは、平成26年1月から松戸市が主催する形へ引き継がれました。
テーマ | 開催日 | 参加人数 |
---|---|---|
松戸市の在宅医療の課題の抽出 | 平成23年6月29日 | (166名) |
松戸の救急現場はどうなっているの!? 救急隊に聞いてみよう | 平成25年10月10日 | (153名) |
「松戸市の在宅医療の課題の抽出」
(開催日:平成23年6月29日 参加人数:166名)
本カンファレンスでは、参加者個々人に「松戸の在宅医療を推進するにあたっての課題や問題点」をポストイットに記入してもらいました。その後、スモールグループでKJ法を用いて、各グループで参加者が挙げた課題について議論を行いました。
カンファレンス終了後、参加者166名が記入した611枚のポストイットの内容を事務局で再整理したところ、11テーマ26個の課題に分類することができました(資料「松戸市の在宅医療の課題」参照)。11個のテーマは“連携に関する課題”、“本人・家族に関する課題”、“地域資源・制度に関する課題”、“医療体制に関する課題”の4つに大別されました。
このカンファレンスでは、KJ法を用いてポストイットに記入した松戸市の在宅医療の課題を整理することで、参加者が日々の業務で感じている困難や問題を振り返るだけでなく、今後取り組むべき課題の内容を概念化したことによって、課題の解決策を考える上で有益な資料を得る事ができました。
多職種によるグループディスカッションの様子 |
KJ法を用いたグループ討議 |
松戸の救急現場はどうなっているの!? 救急隊に聞いてみよう
(開催日:平成25年10月10日 参加人数:153名)
救急搬送の問題をテーマとして、最も身近で患者のケアに携わっている介護職と医療職が一堂に会し討議する場として、多職種合同カンファレンスを開催しました。救急搬送を取り巻く状況は、現場滞在が長時間に及ぶ事例や、受入れ先が確定するまでの照会回数が少なくないことをはじめとして、多くの解決すべき課題を抱えています。そうした状況を改善していくために、まず多職種が現状と課題について共有し、解決策について今後討議できる関係作りを目指しました。
初めての試みとして、午後の部(16:00~18:00)と夜の部(19:00~21:00)の2部制とし、同じプログラムのカンファレンスを2回開催しました。そうすることで、会場規模の都合上ご案内が行き届いていなかった職種の方や、スケジュールの都合上、夜の時間帯のカンファレンスへの出席がこれまで叶わなかった方々にも広くお越しいただけるように配慮しました。
当日は、押尾 昌典氏(松戸市消防局救急課主幹)に松戸の救急搬送の現状についてご講演いただき、続いて多職種で構成される7~8名のグループに分かれ、講演の感想や各自の体験談を語りあいながら、地域における救急搬送を取り巻く現状と課題について討議してもらいました。
カンファレンス終了後に実施したアンケートをとおして、救急搬送にまつわる課題として多職種で共有すべきこと、その課題を解決するために必要な取組み(解決策の検討と必要なデータ)として以下の点が指摘されました。
参加者からは、「自分が知らなかった救急の現状を知ることが出来て、楽しかったし、勉強になった。」「自分の立場や自分の見えることのみで判断するのではなく、高齢者を中心とした各立場のポテンシャル、やっていること、問題点を皆で共有し、カバーし合っていくことが必要だと思いました。」「情報の共有の大切さを再確認しました。時間が短いので、掘り下げることが難しかった。」といった意見が寄せられました。
*このカンファレンスは、「勇美記念財団 在宅医療助成事業」の一環として開催致しました。事業の概要、並びに報告書は、こちらをご参照下さい。
テーマ | 開催日 | 参加人数 |
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在宅における認知症高齢者の事例検討 | 平成23年12月1日 | (135名) |
「がん終末期患者に対する在宅緩和ケア」の事例検討 | 平成24年5月23日 | (112名) |
事例検討 「老衰のミヨさんに各職種ができることは?」 | 平成25年7月24日 | (122名) |
在宅における認知症高齢者の事例検討
(開催日:平成23年12月1日 参加人数:135名)
本カンファレンスでは、病態悪化で緊急入院し、退院後在宅療養に移行した認知症高齢者(女性:夫と二人暮らし)について検討を行いました。
カンファレンスでは、まず①多職種で「この夫婦の生活を支えるためにどのような情報を収集すべきか」を検討しました。次に②同職種ごとに集まってもらい、各専門職の立場としてどのような支援・介入を行うことが可能か作戦を立ててもらいました(作戦タイム)。最後にもう一度、③『多職種協働に基づく治療ケア方針』について元のグループに戻り多職種グループでディスカッションを行いました。
参加者からは、「同職種検討で自分の専門的職としての意見を再認識できて良かった」、「歯科・薬剤師・リハビリの視点がわかってとても参考になった」、「退院指導の大切さを実感した」、「ケアプランにかかる費用等全く知らなかったのでためになった」などの声が挙がりました。
事例検討をテーマに据えた本カンファレンスでは、「多職種→同職種→多職種」によるディスカッションの形式をとることで多職種協働の重要性を意識化するだけでなく、各専門職種が自身の果たす役割や意義を再確認する機会になりました。
①症例検討1 多職種ディスカッション |
②作戦タイム 同職種ディスカッション(医師) |
③症例検討2 多職種ディスカッション |
④全体討議 |
「がん終末期患者に対する在宅緩和ケア」の事例検討
(開催日:平成24年5月23日 参加人数:112名)
カンファレンスでは、78歳胃がんの男性患者の事例を用いたグループディスカッションを2部構成で行いました。前半では医師を中心に「今後起こりうる病態とその対応・ケア方針」を話し合い、後半ではケアマネジャーを中心に「家族負担の軽減策や看取りに関する意思決定支援」について話し合いました。参加者からは「今回の事例を多職種で検討することで、今後、終末期のがん患者や看取りに各職種の専門性をどのように発揮し、他職種とどのように協働を進めて行ったら良いかを考える機会になった」等の声を頂きました。
尚、本カンファレンスでは、新たな試みとしてカンファレンスの冒頭15分間に「専門職からのピーアール・タイム(PRタイム)」を設けました。
今回は、薬剤師からのPRとして、地域の薬剤師の先生からお話をいただきました。参加者からのアンケートでも高い評価が得られ、「在宅における薬剤師の活動についての理解が進んだ」、「具体的でわかりやすかった」といった感想が多く寄せられました。
専門職からのピーアール・タイム(薬剤師) |
多職種によるグループディスカッションの様子 |
全体討論 |
事例検討 「老衰のミヨさんに各職種ができることは?」
(開催日:平成25年7月24日 参加人数:122名)
今回は、カンファレンスの案内を送る際に、当日取り上げる検討事例の概要(A4サイズ・1ページ)を同封しました。そうすることで、事前に仕事での体験と事例を比較して考えたり、周りの方々に意見を聞いたりした上でご参加いただけるよう配慮したためです。
カンファレンス当日は、冒頭の15分で、老いの経過と看取りまでの流れについてのミニレクチャーとグループワークで取り上げる事例の紹介をしました。続いて行ったグループワークでは、7~8名の多職種で構成されるグループに分かれ、事例検討を行いました。事例については、療養者の疾患と最小限の家族情報のみを提示し、詳細については、各参加者の経験を反映させながらグループ毎に決めていただく形にしました。
カンファレンス後のアンケートでは、「多くの職種の方の意見がそれぞれ的確であり、とても良かった。」「自由に設定できることが逆に難しかった。ただ、その分理想的な発言がしやすかった。」「実際に患者さんが在宅に帰る前にこのメンバーで話したいです。」といった意見が寄せられました。
本カンファレンスでは、できるだけ近い地域の方々が同じグループになり事例検討を行えるようにしました。業務の中で実際に連携する可能性の高い参加者同士が議論することで、現場により近い「顔の見える関係づくり」を目指しました。
ミニレクチャー |
事例紹介 |
グループワーク1 |
グループワーク2 |
全体共有1 |
全体共有2 |
テーマ | 開催日 | 参加人数 |
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講演会&松戸の在宅医療を進めるために:課題とアイディアの検討 | 平成23年9月3日 | (114名) |
地域包括ケアの時代における訪問看護の役割 | 平成24年7月31日 | (111名) |
IPW(Inter-Professional Working多職種協働) | 平成25年2月14日 | (125名) |
講演会&松戸の在宅医療を進めるために:課題とアイディアの検討
(開催日:平成23年9月3日 参加人数:114名)
本カンファレンスでは、「患者・家族の当事者の視点」から在宅医療を見直すことをキーワードに、講演会とグループディスカッションを行いました。
第1部では、自らもガンを克服し、現在は後遺症と闘いながら落語家として活動している 樋口 強 氏をお招きして、「生きているだけで金メダル」と題した講演会と落語の独演会を行いました。
第2部では、樋口氏の語りを踏まえ、スモールグループで参加者自身または家族が過去に病気になった時の患者体験から感じたことや学んだことについてディスカッションを行いました。そして、医療福祉従事者である前に「患者・家族の当事者として、医療に何を願うのか」を見直すことを通じて、「当事者の視点」に立った医療の在り方について議論をしました。
その後、グループ毎に、【地域課題を抽出する:「松戸市の在宅医療の課題の抽出」】で整理した「松戸市の在宅医療の課題」の11テーマの課題から1テーマを選び(「A.専門職間の連携」、「D.病院と在宅の連携」、「F.本人・家族に関する課題」等)、問題解決のためのアイディアを自由に出し合い議論を行いました。
多職種によるグループディスカッションの様子 |
全体討議 |
地域包括ケアの時代における訪問看護の役割
(開催日:平成24年7月31日 参加人数:111名)
地域包括ケアの時代における訪問看護の役割をテーマに据え、講演会とグループディスカッションを行いました。
第1部では、長年にわたり訪問看護の第一線で活躍されてきた秋山正子氏(東京・白十字訪問看護ステーション代表取締役)をお招きして、「地域包括ケアの時代に~予防から看取りまで~」と題した講演会を行いました。寿命が延びたことで、病気や障害を抱えながらも活き活きと生き、穏やかに人生を終えるための、支える医療の重要性は高まる一方です。そうした状況は、医療と介護が連携しながら、多くの仲間とチームを組むことで実現可能であるということを、映像も交えながら、実例に沿って、お話いただきました。
第2部では、秋山氏の講演を踏まえ、スモールグループに分かれ、訪問看護の役割について、参加者間でより現場の視点にたったディスカッションを行いました。参加者からは、‘自分で訪問看護を行っていると案外、問題点を見落としているなと気付きました’、‘多職種でのディスカッションは、知らない自分や気付かなかった訪看の役割を知る良い機会になっていると感じます’といった意見が寄せられました。訪問看護の重要性や役割に関して新たな気づきが多くあり、多職種の参加者にとって、訪問看護に関する一層の理解を深める機会になりました。
IPW(Inter-Professional Working多職種協働)
(開催日:平成25年2月14日 参加人数:125名)
IPW(Inter-Professional Working多職種協働)をテーマに据え、多職種合同カンファレンスを開催しました。
カンファレンス開始時間を通常よりも20分を早め、国立長寿医療センターが制作したDVD教材『在宅医療の風』(当院が制作協力)を放映し、在宅医療の実際について改めてイメージを共有しました。
次に、多職種合同カンファレンス開催の初年度(平成23年度)に実施した、専門職種のイメージ変化に関するアンケート結果について、当院スタッフより報告しました。このアンケートは、平成23年度に実施した計4回の合同カンファレンスに出席した方々の協力を得て実施しました。アンケートでは、以下の2点について調査を行ないました。1)各医療従事者(医療職並びに介護職)の専門性が、他職種からどのようなイメージがもたれているか;2)カンファレンスへの参加を通じてそれらがどのように変化したか。
当日は、専門職の特性と重要性を他の職種の方々に理解してもらうため、まず全9職種のみなさまに同職種ごとに14のグループに分かれて頂きました。自分たちの職種の専門性のアピールポイントを同職種間で討議しました。グループは以下のように構成しました。
① 病院スタッフ(2グループ)
② 診療所スタッフ(1グループ)
③ 歯科医師・歯科衛生士(2グループ)
④ 薬剤師(3グループ)
⑤ 訪問看護師(1グループ)
⑥ セラピスト(1グループ)
⑦ ケアマネジャー(2グループ)
⑧ 介護職(1グル―プ)
⑨ 市役所・地域包括・民政委員(1グループ)
討議のポイントを「伝えたい私の専門性」とし、ワークシートを用いてグループ毎に他職種に伝えたい専門性を3つに集約するようお願いしました。
続いて、6~8職種からなる多職種で構成される14のグループに着席位置を移動していただき、各自がグループ内の他職種に向けて自分の職種のPRを行いました。最後に、各職種のPRを聞いてこれまで以上に連携したいと思うようになった3職種を選んでいただき、会場に設置した投票所で投票していただきました。
尚、イベント当日がバレンタインデーであったため、投票にはチロルチョコを用いて余興の意味も兼ねて行ないました。結果は1位から9位まで非常に僅差となりましたが、今後一層連携したいと思うようになった職種の1位は歯科医師・歯科衛生士、2位は看護師、3位はケアマネジャーとなりました。また注目すべき点として、‘市役所・地域包括・民政委員’から出席者は5名と出席者全体に占める割合は最も少ないにも関わらず高得点を得ました。行政と他職種が今後さらに連携を深めていくことが重要であることが分かりました。
作戦タイム |
PRタイム |
投票1 |
投票2 |
全体共有 |
テーマ | 開催日 | 参加人数 |
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松戸市の在宅医療にまつわる重要課題の解決策 | 平成24年2月29日 | (103名) |
シンポジウム「高齢者の救急医療と在宅医療を考える」 | 平成26年6月24日 | (237名) |
松戸市の在宅医療にまつわる重要課題の解決策
(開催日:平成24年2月29日 参加人数:103名)
本カンファレンスでは、「専門職間の連携」「本人・家族に関する課題」「在宅医療を支える地域資源」の3つのテーマに絞り討論をしました。
議論するテーマの選定に当たっては、参加申し込み時に【地域課題を抽出する:「松戸市の在宅医療の課題の抽出」】で整理した「松戸市の在宅医療の課題」の11テーマから議論したいテーマを選択してもらい、特に要望の多かった上記3つを取り上げることとにしました。
具体的には各課題の解決策について、“明日からできること”、“1年以内に達成できること”、“大きな枠組みの変更が要すること”の3つの階層を設定して、まず個人で解決策のアイディアをポストイットに記入してもらいました。その後、個人で書いたポストイットを各グループごとに表に貼りながら、議論を行いました。参加者からは、「(連携について)顔の見える関係づくりを強化する」「定期的に多職種で集まる機会(カンファレンスなど)をつくる」「(介護力不足に対して)元気な高齢者が介護に参加して相互に助け合うシステムを作る」などの解決策が挙がりました(『解決策のまとめ』参照)。
今回、各課題の解決策を3つの階層に分けて整理することにより、解決策をただ漠然と考えるのではなく、「個人」あるいは「地域全体」としてできることを具体化し、地道な努力や協力体制を整えることで地域の在宅医療の推進に繋がる方向性を探ることができました。
多職種によるグループディスカッションの様子 |
グループディスカッションの結果 |
シンポジウム「高齢者の救急医療と在宅医療を考える」
(開催日:平成26年6月24日 参加人数:237名)
松戸市における高齢者の救急医療と在宅医療をテーマに据え、シンポジウムを開催しました。
本シンポジウムの開催にあたり、約1年にわたり医療や介護、救急の職に従事する地域の皆さまにご協力をいただいて参りました。中でも、当地域における救急医療と在宅医療の課題を明らかにする上では、特に次の二つの取組みが重要な意味を持ちました。
まず、2013年10月に、松戸市における救急医療をテーマとしたカンファレンス(市内で医療や介護の仕事に従事する専門職153名が一堂に会した多職種合同カンファレンス)です。ここでは、患者を救急搬送する‘送り手’の視点から、以下3つの課題が明らかになりました。
1.情報共有(病歴や背景、これまでの身体状況などについての情報共有)
2.判断基準(救急搬送すべき状態かどうかについての現場の判断)
3.意思決定(どこまでの医療を希望するのかについてのリビングウィル)
また、上記カンファレンス参加者からアンケートを通じて、救急搬送の‘受け手’である病院側の意見を聞きたいとの声が多数寄せられ、この要望に応えるかたちで、松戸市内の病院や診療所、訪問看護ステーションに所属する医師と看護師、消防署のスタッフの有志で「救急医療と在宅医療を考える会」を企画しました。
2014年3月に「救急医療と在宅医療を考える会 意見交換会」を行なったところ、さらに3つの課題が明らかとなりました。
4.予防的な手立て(急病が生じる前の予防策や在宅医療としてできる対応)
5.入院後の後方支援(在宅医療や後方支援機能を担う病院が果たすべき役割)
6.その他の課題(精神疾患患者や死亡確認のための搬送などの重要各論)
これら6つの課題について多職種で討議し、その解決策を探ることを目的に据え、本シンポジウムを開催しました。
シンポジウムは二部構成とし、第一部では救急搬送を受け入れる側である病院の立場から、松戸市内6病院の医師、看護師、医療ソーシャルワーカーから意見や提言をいただきました。その内容をもとに、第二部では多職種からの登壇を得て複眼的に救急医療の課題と解決策について討議しました。
6つの論点のうち、「情報共有」、「意思決定」、「入院後の後方支援」を中心に議論が展開され、その解決策として提起されたものが以下の内容となります。
「情報共有」:専門職が記入する情報シートを作成し地域での一体運用を目指す
「意思決定」:情報シートを活用して主治医や訪問看護師等と病院が連絡を取る
「入院後の後方支援」:後方支援機能を担う医療機関の会議体を新たに構えるべき
シンポジウム終了後に実施したアンケートをとおして、「介護、訪問先の家族と連携して救急時の情報をまとめたシートを整備したい」、「専門職としての情報提供をしていく」といった、情報共有に関する意見が多く寄せられました。また、「意思決定を患者や家族ができるように、よく話を聞いて、思いを引き出すような援助をしていきたいと思います」といったコメントも寄せられました。入院後の後方支援という点については、連携という観点に立ち、「病院で対応可能なことを実行したい。何ができるかを、チームで検討したい」、「入院後の後方支援病院の職員として、スムーズな受け入れに取り組みたいと思います」といったコメントに加え、「今後、救急病院が高齢者であふれ、機能しなくなっては困るので、地域で高齢者対策をどのように取り組んでいけるか…」といった課題についても寄せられました。
一連の取組みと本シンポジウムを踏まえ、情報共有をスムーズにするための仕組み作りに優先的に取り組んでいくこととなりました。
*このシンポジウムは、「勇美記念財団 在宅医療助成事業」の一環として開催致しました。事業の概要、並びに報告書は、こちらをご参照下さい。
会場の様子 |
病院からの論点提示 |
多職種による討議 |
学会発表 |
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在宅医療連携拠点事業における取組みとその成果を、日本在宅医学会において報告致しました。
当院では、平成23年より歯科衛生士を臨床チームに加え様々な取り組みを行ってきました。この取り組みは、臨床を中心に地域資源の把握、人材の育成、医科歯科の連携と多職種協働、口腔ケアの必要性についての啓発など多岐にわたります。これまでに行ってきた松戸市における歯科衛生士の取り組みと今後の課題について報告します。
ホームページ開設による 在宅医療連携拠点活動のオープンソース化(発表ポスター)
多職種合同カンファレンスを通じた 職種イメージの変化(発表スライド)
訪問歯科衛生指導に取り組む 歯科衛生士養成の試み(第15回日本在宅医学会優秀演題受賞)(発表スライド)
ケアプラン作成支援ツールによる 医療と介護の連携促進のための取り組み(発表ポスター)
「医療と介護の連携を深めるための基礎知識講習会」開催とその意義(発表ポスター)
医療と介護の連携-ケアマネジャーの感じている困難感とは-(発表ポスター)
多職種の視点を反映した「在宅医療に関する課題」の抽出と概念化(発表ポスター)
歯科衛生士の医師訪問診療同行による医科歯科連携促進(発表ポスター)
拠点が担う多職種カンファレンス継続開催の意義(発表スライド)
多職種合同カンファレンスの質の評価と効果に関する研究(発表ポスター)
在宅医療連携拠点事業者意見交換会 |
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平成24年8月24日、複数地域の在宅医療連携拠点事業受託者のみなさんと情報交換を行い、連携拠点事業受託者間の交流をはかる取組の一環として、「在宅医療連携拠点事業者意見交換会」を平成23年度事業者の一つとしてあおぞら診療所が呼びかけ、40拠点86名の方に参加いただき開催させていただきました。
当日はまず始めに、昨年度の拠点事業への取り組みについて、当院の連携拠点事業のホームページを用いて報告を行いました。ホームページにそって報告をすることで、ダウンロード可能な資料についても同時に紹介しました。
次に、11の分科会テーブル(1.ケアマネジャー 2. 薬剤師 3. 歯科 4. 病院 5. 医療介護資源 6. 人材育成 7. 情報共有 8. 研究 9. 一般啓蒙 10. 事務局① 11. 事務局②)に分かれ、意見交換を行いました。分科会テーブルには、松戸市における当院の在宅医療連携拠点事業の各専門職種キーパーソンや平成23年度在宅医療連携拠点事業者に担当者としてご出席いただきました。分科会では、在宅医療における多職種の連携を強化する上で鍵となるテーマを設定し、各テーマの担当者が各自の経験と実績を踏まえて活動内容を説明し、参加者からの質問にも適宜答える形をとりました。参加者86名が7~8名からなる11のスモールグループに分かれ、各担当者がいるテーブルをラウンドしながら、議論を重ねました。1テーマについて15分討議をし、全員が2時間で8テーマについて意見交換を行いました。
グループ分けに際して工夫した点は、今後の連携がとりやすくなるよう、できるだけ近隣地域からの出席者どうしが同グループになるようにしたことです。全員が全てのテーブル回ることは時間的に困難であるため、一拠点から3名以上の出席者がいる場合は、別々のグループに入っていただき、各拠点が全てのテーブルを回ることができるように配慮しました。また、できるだけ多くの分科会担当者と意見交換の場を持てるように、50分間の交流会を設けました。
50分間の交流会後、ワークショップを行いました。診療所・病院・ステーション・医師会・行政という拠点の母体組織ごとに分かれ、「連携拠点が担うべき役割」について議論して頂きました。
最後に、全体討論を行い、各グループで話し合った内容について、情報を共有すると同時に、活発な意見交換がなされました。参加者からは、‘各事業所での悩みやつまずいている点が同じであり、前向きにお互い考えることができた’、‘共通の取り組みや介入「医療と介護の連携に関する講習会」ができればよいと思う’といった意見が寄せられました。在宅医療連携拠点事業を進めていくうえで必要な多くの情報が共有され、活発な交流の機会となりました。