歯科連携 在宅医療連携拠点事業

 在宅療養患者では全身疾患の状態や疾患の進行に伴い、口腔内や嚥下機能に問題をもっていることが多いと考えられる一方、十分な対応がなされているとは言い難い状況が存在します。

 あおぞら診療所では、平成23年4月から医師の訪問診療時に歯科衛生士や歯科医師が同行する形で、口腔内の状態や嚥下状態に関するスクリーニングを開始しました。平成24年2月末までにスクリーニングを行った226名について、6割以上の方で歯科介入の必要性が極めて高いことがわかりました。そのうち60名に対して新たに歯科診療や継続した口腔ケア(口腔清掃、口腔内・口腔周囲マッサージ、嚥下リハビリ等)を開始し、スクリーニング開始以前から訪問歯科治療を受けていた方46名と合わせ、106名(47.8%)の方に訪問歯科診療が行われるに至っています。

 歯科診療や継続した口腔ケア、嚥下検査の必要な場合などは、主治医が説明して、受診希望があれば訪問歯科診療が受けられるように歯科医師(松戸市、柏市)に繋げています。

 

医科歯科連携の課題と対応

課題1 口腔内に問題があるのに気付かれていない
対応
  1. 歯科衛生士が継続的に訪問診療に同行し在宅療養患者の口腔内の状態を評価しています。
  2. 医師や看護師が口腔の問題に気づけるような評価項目案について検討しています。
  3. 医科診療所に歯科衛生士が関わることで医師や看護師の口腔への意識が高まり、問題が見つかるようになってきました。
課題2 訪問診療に積極的に従事する歯科医師や歯科衛生士が不足している
対応
  1. 地域で訪問診療に取り組んでいる歯科医師に対して、訪問可能エリアに応じて、在宅患者の歯科診療を依頼しています。訪問歯科診療に取り組む歯科医師や訪問歯科衛生指導を行う歯科衛生士を引き続き地域において募集しているところです。
課題3 摂食・嚥下障害に対して対応できる専門職が少ない
対応
  1. 摂食・嚥下機能面の問題を有する患者については、VE(嚥下内視鏡)や頚部聴診法等での評価が出来る歯科医師に診療依頼をしています。

 歯科の介入がなされていない患者の口腔内についても、口腔内の衛生状態を維持・管理していけるように訪問看護、訪問介護、施設スタッフの方などに、必要に応じて口腔ケアの方法を伝える等の対応をとっています。

 今後は、発熱を繰り返す方や癌終末期の方に対して、継続した口腔ケアが提供できるような体制を構築したいと考えています。

 

資料

在宅医療における医科歯科連携 医科歯科連携好事例集
第15回日本在宅医学会優秀演題受賞
訪問歯科衛生指導に取り組む 歯科衛生士養成の試み

 

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